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日常と好きなもの。活字中毒ブログ。
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この人は料理人です。
でも、とてもよい文章を書く人だと思う。

『日々ごはん』は日記を書籍化したもので、現在9巻まで既刊。
なんだか日なたのような本。
毎日良いことばかりではなくて、悩んだり、体調が悪かったりもするのだけれど。
その日食べた夕食が書き記してあって、それが本当に季節に合った献立で、気持ちがゆっくりする。
だんなさんであるスイセイさんとの日々。
スイセイさんの娘さんが同居したり自立したり。
何か特別なことが起きるわけでもなく、主張の強い文章では全くないのだけれど、たまに立ち止まるように家族のことや、食べること、働くこと、生きることを考えるきっかけをくれる。

『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』は、○月○日、という現実ともなんともつかない日記が何日分かごとに章分けされていて、最後の行に、おまけみたいに料理の名前がついてくる。
たとえば「やじるしの向こう。」の章には「緑のハーブティー」が、「ふとんの中。」には「ビーフンのもどし方」がついてくる。そして、それらのレシピや写真が別冊になって本の付録になっている。
おまけの料理は、章との明らかなつながりがあるものもあれば、なぜこの料理がついてくるんだろうと不思議になるものもある。
でも、どこか絡まってつながっているんだと高山さんは記している。
『日々ごはん』が日なたなら、こちらは昏い感じ。
暗い中ひたひた大理石の冷たい床を歩いて、行き当たった水場で、冷たい水を手にすくって味を確かめるような。
高山さんの見た夢が唐突に混じってきたり、章わけされている分、訴えてくるものも強い。

どちらの本も、ふとんの中で読むのがあっている。
梅雨向きでもある。鬱っぽいときにも向いていると思う。
変な言い方だけれど、先へ先へと読み急がなくても良い本。
ぬくぬく養生しながら読んで欲しい。

『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』より

たとえば、それはロウソクの芯のようなものだと思う。
体の奥の方にしまわれているので、普段は気にも止めない。でも、そこにマッチの火を近づけると、赤々とした灯がともる場所。

日々ごはん 9 (9)


帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。
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嵐山光三郎の料理エッセイ。

とにかく美味追求に対する執念がすさまじい。
すさまじすぎて笑える。

決していわゆるグルメではなく、高級志向でもない。
固いタケノコがうまいと思えば、尺八まで煮ようとする。
竹林が火事になったとき焼けたタケノコがうまかったと聞けば、バケツにタケノコを埋め、東京ガスの巨大オーブンで焼いてもらう。
カレーを追求しようと思い立てば、スーパーに売っていた30種類ものカレールーを買って全部試してみる。
木になったまま梅を塩漬けして、「カリカリ梅の活け造り」と銘打つ。

描写はどれも丁寧で、言葉のテンポが小気味よい。
固有商品名もばんばん出しての美味追求。
カレーを作るときのタマネギを炒める時間は、ビール2本飲みきる程度、というのが何ともしっくりくる。

この本以降続刊されるが、この一作目が一番おもしろかった。

※表紙の画像が無いようなので、今回はタイトルのみリンク↓

 素人庖丁記
3年くらい前に、表紙に惹かれて手に取り、買った本。
言葉の流れも私好み。そして出てくる食べものが美味しそう。
居酒屋の肉どうふ、風邪をひいたときに作るしょうが入りの雑炊、いちいち美味しそう。
嵐山光三郎の助手という経歴だから納得。

川上弘美に似ているけど、川上弘美よりももう少し、若い女の人の書く文章といった感じ。

もう少し感傷的というか、対象との距離が近い。読んでいて、こちらもしんみりさせられるときがある。
「まるいおもち」というおばあちゃん三姉妹との餅つきの思い出の話には、3年前は涙してしまった記憶がある。

この本を読むと、なんだかんだ言っても、東京だって下町だし、何気ない近所の人とのつながりや、縁ある人とのつながりは、今もしっかりあるんだなぁとほっとする。
一つ一つが童話のように優しい。
月と菓子パン
この2人の作品の共通点は、出てくる食べものが美味しそうだということ。

『ぐりとぐら』に始まり、『ふしぎなかぎばあさん』シリーズを経て、今に至る「食べものの美味しそうな本が好き」な私。

川上弘美
この人は、あまり食べものの味の描写はしない。でもやっぱり美味しそう。
たとえば『センセイの鞄』。

まぐろ納豆。蓮根のきんぴら。塩らっきょう。
塩ウニ。
もいだばかりのきゅうりを、軽くたたいて梅肉であえたもの。
みずみずしい茄子をうすぎりにしてしょうがじょうゆを添えたもの。
糠づけにしたキャベツ。
蛸しゃぶ。茹しゃこ。

よしながふみ
この人はしつこいくらいの味の描写でもってかれる。漫画だけど文にやられる。
たとえば『愛がなくても喰ってゆけます。』

魚介のサラダバジリコ風味のバジルソースについて
「見た目しょっぱすっぱそーな味に思うんだけど、ほの甘いのよ!!そんでそこに魚介の旨味が!!」

仔羊の網脂包み焼き
「基本的に塩味なんだけどその塩味がサイコーうまい!!塩とにんにくが効いててレアで!!」

うな丼
「うわっ皮までふぁっふぁっ!!たれはさらさらであんまり甘くなくって
 もーとにかくふんわりでおーいしーい!!」

あーお腹が空いてきた。

センセイの鞄


愛がなくても喰ってゆけます。
ブログ初め。
大学3年のときに書いた、安吾の『桜の森の満開の下』論。
稚拙だけど、あのと頃の私の精一杯。
読むとちょっと切なくなる。
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みこ
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自己紹介:
25歳 
旦那・息子(8ヶ月)と3人暮らし

好きな作家
坂口安吾 川上弘美
リリー・フランキー
三谷幸喜 高山なおみ

エッセイ以外の吉本ばなな

好きな漫画家
ジョージ浅倉 安野モヨコ
浦沢直樹 星野之宣

好きな絵本作家
エリック・カール
エロール・ル・カイン


好きな音楽
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好きなゲーム
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